ファンを育む“習慣化”の極意
第3回 メディアから購買までをスムーズにつなぐ秘訣
サイト内に動画コンテンツやクイズ、ブランド紹介、ECなどを統合させているハイブリッド発想の「ネスレアミューズ」。回遊させる工夫をあちこちに仕込み、購入へ促すモチベーションリンクへの配慮に注力している。その工夫を、ネスレ日本 マーケティング&コミュニケーションズ本部デジタルマーケティング部 部長の出牛誠さんに教えてもらった。 見ていないコンテンツのお勧めや、懸賞に応募できるコインの工夫 栃尾:ファン化を大事にしているとのことですが、購買につなげるためにどのような工夫をしていますか? 出牛:まずは、回遊していただく工夫をいたるところに施しています。例えば、以前説明したとおり、ページ下部に出している行動履歴捕捉型の情報ポップアップ。訪れた方のコンテンツ閲覧行動から最適な情報をお勧めさせていただく設計にしています。嗜好性の近いであろう別のコンテンツをお勧めし、回遊性を高めていただくことにも配慮しています。また、訪問していただくことで貯まっていくネスレコインも工夫のひとつ。ログイン状態で「ネスレアミューズ」上で様々な行動をしていただくと獲得でき、貯まるとプレゼントキャンペーン応募などにご使用いただけます。サイトに来ていただくだけで貯まっていくので、ひとつのモチベーションになってもらいたいなと。ゲームをしたりクイズに答えたり、動画コンテンツを視聴しても貯められます。コインの獲得を通じてコンテンツを消費していただくことより、ネスレやネスレ製品の情報を新たに知っていただく狙いもあります。 動画を見終わったら「今見た商品はこれです」というバナーを 栃尾:そこから購買につなげるためのポイントは、どのようなところですか。 出牛:自然に回遊していただく仕組みにしており、ブランドサイトやECサイトなど、他のものを見てもらうのが自然な流れになっているので、違和感なく購買行動につながる回遊に努めています。「ネスレアミューズ」を立ち上げた当時は、ECサイトとのハイブリッドにしている例は珍しかったようです。 栃尾:動画と連動している工夫などはありますか? 出牛:見ていただいた方に自然とクリックしてもらえるように「今回のゲストが飲んでいるのはこれで作りました!」「作品で紹介した商品はこちら」といったバナーを配置させていただいています。あるいは、視聴いただく前に「ショートフィルムを見るときにいかがですか」というように。動画の視聴を邪魔しないように見ている最中ではなく、サイト行動の区切りで遷移してもらえるようにしています。 顧客が自然に「見たい」「クリックしたい」と思わせるような「引き」をいたるところにちりばめて、活発にアクションしてもらうようにしている。その細かく繊細な工夫が、リピーターを増やしているのだろう。最終回である次回は、「ネスカフェ アンバサダー」という仕組みと「ネスレアミューズ」の関係性、これからの展開について伺う。 Facebook-f Twitter 出牛誠ネスレ日本株式会社マーケティング&コミュニケーションズ本部デジタルマーケティング部 部長1999年入社。営業、マーケティング、営業企画、ネスレ通販等の担当を経て、2012年より、オウンドメディア『ネスレアミューズ』を担当。『ネスレシアター』の立ち上げをはじめ、コンテンツ開発・デジタル施策を手がけている。 栃尾江美ストーリーと描写で想いを届ける「ストーリーエディター」。ライターとして雑誌やWeb、書籍、広告等で執筆。数年前より並行してポッドキャスターも