DNAを伝える媒体づくり

第3回 変えてはいけない部分を見極めながら、時代に即していく

採用のメディアが「紙」中心だったころから、Webに移り変わり、さらにSNS戦略へと進んでいく。ミキハウスも、時代に流されすぎないようにしつつ、新たな施策にも取り組んでいかなくてはならない。人事部部長の宮本周さんに聞く第3回は、リアルな現場こそ大事だと考えるその本質を伺った。

変わるべきところと変えてはいけないところを見極める

栃尾:
採用の媒体をはじめとする時代の変化を、どのようにとらえていますか。

宮本:
いくら時代が変化しても、子供服のブランドとして、ミキハウスの「クオリティ」「安心安全」はずっと維持していかなくてはなりません。それは決して譲れない部分ですが、例えば、採用のための媒体はどんどん変えていく必要があるでしょう。
今は採用活動も、紙媒体からWebが中心となりましたが、流行りに流され過ぎても、逆にまったく取り入れないのもよくないと考えています。今の段階ではSNSを取り入れてはいませんが、これもやってみないとわからない部分。先入観をなくして判断し、とにかくチャンレジしてみる必要があるでしょう。

「説明会」も媒体と捉える

栃尾:
今のところは、Webと紙による採用展開がメインでしょうか。

宮本:
実は、直接顔を合わせる説明会なども、ある種の媒体だととらえています。その場合はもう「伝える」よりも「感じてもらう」ことが大切。リアルでお会いすると、視覚や聴覚だけでなく、五感が大切になります。「なんかいい」と感じる部分が、感じた人の中にもっとも深く入り込めるのではないでしょうか。リアルな場でも後味を残せるよう、振る舞いや言動、表情などで伝わるように細心の注意を払っています。

栃尾:
やはり、実際に会うことが「伝わる」コミュニケーションの秘訣なのですね。

宮本:
弊社は大阪が本拠地で、東京にも事務所があります。単なる情報共有などであればリモートで会議をすることもありますが、想いを共有したいときには実際に会わないとなかなか伝わらないと感じています。「このプロジェクトをどうしてもやりたいんだ」というような熱い想いは、リモートの会議ではなかなか共有できません。
これから5Gの時代になって多くの情報を瞬間的に送れるようになれば、もしかしたら香りや感触といった、直感に近い情報を送れるようになるかもしれませんが、今のところリアルに会うのが一番だと思います。

学生たちに伝える媒体として、Webや冊子などだけでなく、Face to Faceのリアルな現場も大切にする。Webや冊子では担えない「五感に訴える媒体」と捉えることで、準備やふるまいも変わってくるのだ。次回は、「ご縁」を引き寄せる具体的な施策について伺う。

宮本 周
株式会社ミキハウス 人事部 部長
1997年入社後、百貨店営業、経営企画、グループ会社経営、営業統括と渡り歩き、現職。人事制度改革と共に経営戦略に則った外国籍社員採用にも力を入れている。

栃尾江美
ストーリーと描写で想いを届ける「ストーリーエディター」。ライターとして雑誌やWeb、書籍、広告等で執筆。数年前より並行してポッドキャスターも