オンライン時代のキャラクターとマーケティング
第4回 アクションを誘うコンテンツには理由がある
キャラクターのSNSアカウント成長の背景には、数字に裏付けられたKPI設定と継続的なPDCAがありました。「バズる」は狙うものではなく地道に積み上げるものなんですね。今回は、Twitterアカウントでの取り組みについてお聞きします。 リツイートキャンペーンではない拡散の方法 WIT Twitterでは、Instagramの場合とまた違った工夫があるのでしょうか? 家田 そうですね。「秘密結社 鷹の爪」の吉田くんのアカウントの例でご紹介しましょう。Twitterでファンを増やすことを目的にする場合、「いいね」や「リツイート」で拡散されることがポイントになります。それを狙ってフォロー&リツイートを促すプレゼントキャンペーンをよく見かけますが、それだけでは継続的なファンになってもらうことはできません。 吉田くんのアカウントの場合、数字の検証を続ける中でリツイートよりも「いいね」の多い時の方がインプレッション数が伸びる傾向がわかってきました。そこで、2月14日のバレンタインに合わせて「いいね」を促すキャンペーンを実施しました。 「いいね」を10個もらうと吉田くんにチョコが1個プレゼントされる、という設定で画面の中にチョコのイラストを増やしていく企画で、実際の「いいね」数に合わせて時間を追って投稿していったんです。最終的には吉田くんがチョコに埋もれる格好になりました(笑)。 WIT 参加したくなる企画ですね。拡散というとリツイートを意識しがちですが、「いいね」も効果があるのですか? 家田 はい、実は毎回必ずという訳ではないのですが、「いいね」した人のフォロワーのタイムラインに表示されることがあります。吉田くんのアカウントの場合、いつも一定程度はリツイートされるのですが、おそらくリツイートしてくれる人は一定数のため、同じような範囲のユーザーにしか届いていないのではないかと考えました。そこで、普段リツイートしない人により気軽に「いいね」を押してもらった方が未リーチの方へも広がるのではないかと仮説を立てたんです。 WIT なるほど、数字から仮説を立ててコンテンツの企画に結びつけるわけですね。 家田 はい。もうひとつ、フォロワー外のユーザーにも興味を持ってもらう施策として、Twitterのトレンドや流行りのネタを盛り込んだコンテンツにハッシュタグをつけて投稿することもあります。 こちらはいろいろな種類の貝を擬人化した「貝社員」という作品のアカウントで、ハロウィンに合わせてキャラクターが人気ゲームのキャラクターのコスプレをしたものです。コスプレはキャラクターのコンテンツと相性が良く、ハッシュタグ経由で元作品のファンに関心を持ってもらえるので、リツイートや「いいね」につながります。 トレンドを逃さない、タイミング勝負の投稿 WIT Twitterで、中長期的にアカウントを育成するポイントはありますか? 家田 吉田くんのアカウントの場合は 1.投稿する時間帯(原則として朝)2.サムネイルの見せ方3.アニメの世界観を崩さない という3点がポイントだと考えています。 WIT なるほど、それぞれお聞きしたいのですが、まず時間帯が朝なのはなぜですか? 家田 トレンドの動きに合わせるためです。例えば「○○の日」などカレンダー的にトレンド入りが予想されるものはあらかじめコンテンツを用意しておくのですが、時間が経つとその日の出来事やニュースが上がってきてしまいます。そのため、朝のうちに投稿することにしています。 ただ、予想より早くトレンド入りしてしまった場合は、予定を待たずに投稿することもあります。先日はジブリ映画のテレビ放送に合わせて吉田くんのコスプレを準備しておいたのですが、前日の夜にトレンドに上がってしまったので、その場で投稿しました。 WIT リアルタイムで対応するんですか! 大変ですね。次のサムネイルについては、最近うまい見せ方で遊ぶ投稿をよく見かけます。 家田 そうですね。まず1枚絵でどれだけ目に留まるかが大事なので、面白い部分だけ切り取られるようにとか、全体が見えるようになど、コンテンツによって調整しています。少し前に、猫耳をしているように見せる遊びが流行った時は流行りに乗ってやってみました。結果はイマイチでしたけど…。…