リモートワークで体に支障が! 日々の工夫で姿勢改善

第3回 疲れない座り方と下半身のストレッチ

【調子がいい!がずっと続くカラダの使い方 仲野孝明著(サンクチュアリ出版)より引用】

意識せずに座っていると、背骨が曲がってしまうのが人間の体。それを正すためには座骨を立てるようにするのがコツだ。また、下半身も同じ体勢では硬くなってしまうので、適宜伸ばすことが大切になる。姿勢セミナーの第3回は、疲れない座り方や股関節のストレッチ、体に負担をかけない仕事環境について解説する。これまで同様、姿勢治療家(R)として活動中の仲野孝明さんにオンラインで指導してもらう。

疲れない座り方は「座骨を立てる」

「人間の体は座るようにできていない」と語る仲野さん。人間の体はそもそも、「立って使うようにできている」という。そのため構造的に座る姿勢が苦手で、特に意識せずに座るとすぐに背骨がまるく曲がってお尻の位置が椅子の前の方にいってしまう。さらには、パソコンに向かうことで顔や腕も前に曲がり、より内側にゆがんでいく。

疲れない正しい座り方は、座骨が座面に当たっていること。座った状態でお尻の下に手を当てると、左右に出っ張った骨がある。これが座骨だ。

「猫背のように姿勢悪く座ってみてください。このときにお腹あたりを触ると、緩んでいてテンションがかかっていないことがわかります。逆に背中を触ると緊張していることがわかるでしょう。このときには背中の筋肉を使っているので、腰が痛くなるのです」

この座骨が立っている状態で座ることが大事。コツをつかむためには、まず体が立っている状態から考えるといい。

「立っているときに、ウエストのところの横に手を当てみてください。そのまま膝を上げ下げしてみて動く骨です。正しい姿勢で立ち、上半身はその状態のまま、この骨だけを動かすようにして座っていきます。その状態が、座骨が立っている状態になります」

最初は難しいかもしれないが、感覚をつかむまで試してみよう。

椅子がない方は、正座をするかクッションを敷いたあぐらで
【調子がいい!がずっと続くカラダの使い方 仲野孝明著(サンクチュアリ出版)より引用】

在宅勤務で机や椅子がなく、ローテーブルで作業をしている人は、正座をするのが望ましいという。そのままで座骨が立った状態になるからだ。

ただし、正座は普段から慣れていないと長時間できるものでもないため、その次にいいのは「あぐら」。地ベタにあぐらをかくとどうしても徐々に背骨が曲がってしまうので、おしりの下にクッションを敷くといい。10cm程度がおすすめだが、股関節が硬い場合は、厚みがあるほど座りやすいという。

座っている間は、座骨が座面に当たっていることと、お腹にテンションがかかっていることをときどきチェックしていこう。

また、座った状態から、第2回目に紹介した「背伸びのストレッチ」を上半身だけでしてもいい。座骨が立っていることを意識しながら伸ばすことに気を付けよう。

腰痛や便秘の悩みにも効く股関節ストレッチ
【調子がいい!がずっと続くカラダの使い方 仲野孝明著(サンクチュアリ出版)より引用】

座ってばかりいると、股関節を内側にばかり曲げていることになる。その状態で体が硬くなるのを防ぐため、逆側に伸ばすのが「股関節ストレッチ」だ。

1. 片方の膝をつき、ついた方の足を足首まで伸ばして床に付ける
  (膝が痛い場合にはタオルなどを敷く)。
2.もう片方の足を大きく前に出す。
3.重心を前に倒して腰を落とす。
4.膝がついている方の腕を真上に伸ばす。

これでバランスがとりにくい人は、上に上げた方の手で壁か何かにつかまっていてもいい。股関節の前側を伸ばすことがとても重要だ。2回ほど深呼吸をして、逆の足に変えて同じようにする。

「前に出ている足のつま先を外側にするなど動かすと、股関節の延びる場所が少しずつ変わります。いろいろとやってみるといいでしょう」

背中を壁に付ける姿勢のチェックで、腰と壁の間にスペースが開きすぎてしまった人は、このストレッチによって姿勢を改善できる。壁にふくらはぎがつかなかった人は、次の「椅子ストレッチ」が効果的だ。

1.椅子に座った状態で、片足を前に伸ばし、つま先を上にあげる。
2.上半身を、足の付け根から曲げるようにして前に傾ける

反対側も同様に伸ばしていく。これにより、太ももの裏側がほぐれる。

仕事の環境を整える

姿勢にいくら気をつけていても、デスク周りの環境が悪ければ限界がある。在宅勤務の場合には、自宅の環境を整えることも視野に入れていきたい。

まず、モニターの高さが低すぎる人が多い。モニターの中心が正しい姿勢で座った状態の目線の高さに来るようにすると、首と背筋が伸びていい。モニターは専用の台を用意するのが理想だが、ひとまず段ボールや本などで底上げをするのでもいいとのこと。ノートパソコンを使用している人は、外付けのキーボードを使って、モニターを目線の位置まで上げることが理想的とのこと。

外付けのモニターもおすすめだ。仲野さんによると、27~34インチがベストではないかという。大きすぎるモニターになると、体から距離を取らないと見えにくいため、逆に使いづらくなる懸念がある。

最後に、事前に取っていたアンケートのお悩みに仲野さんが答えてくれた。

「頭が痛い人は、前のめりになりすぎているのかもしれません。背伸びの運動で正しい状態にして、左右を見て首を動かすといいでしょう。手足の冷えに悩む人は、血液が末端まで届いていない可能性があるので、適度な運動をしてください」

参加者の疑問がひとつずつ解消され、その場で質問などにも答えてもらった。仲野さんはポッドキャストやYouTube等でさまざまな情報を発信しているので、悩みに合うものを探してみてもいいだろう。

長時間同じ姿勢でいることで、知らず知らずのうちに体に負担をかけ、肩や腰などに不調をきたしてしまう。そもそもの原因が悪い姿勢であるならそれを正し、さらに細かく休憩をしてストレッチ運動などを取り入れていくのがベター。在宅勤務続きで体調が悪化する前に、自分の体は自分でしっかりとメンテナンスしていこう。

調子いい! がずっとつづく カラダの使い方 Kindle版 仲野孝明(著)

仲野孝明さん
姿勢治療家創設者。一般社団法人日本姿勢構造機構代表理事。株式会社 N-Style代表取締役。仲野整體東京青山院長。柔道整復師。柔道家整復師認定スポーツトレーナー。介護予防運動指導員。1973年三重県生まれ。180万人以上の患者数と二度の藍綬褒章受章を誇る、大正15年創業の仲野整體の四代目に生まれ、自身もこれまで0歳から108歳まで15万人以上の 患者を治療する。