リモートワークで体に支障が! 日々の工夫で姿勢改善

第1回 正しい姿勢で「外見」「体内」「人生」が劇的に改善

新型コロナウィルス感染拡大のため、在宅勤務に踏み切る企業が増え、体の不調を訴える人も出始めている。デスクワークが仕事の中心となる現代人は、ただでさえ肩こりや腰痛といった不調に悩まされている人が多い。自宅の仕事環境が悪ければなおさらだ。そこで、WIT Cafeでは、現代人の健康に大きな影響を与えている「悪い姿勢」を矯正し、カラダの正しい使い方や指導をする専門家「姿勢治療家®️」の仲野孝明さんに依頼して、オンラインセミナーを開催した。1回目は、姿勢の大切さと考え方について解説してもらった。

姿勢を正してステップアップすれば、だれでもマラソン完走できる

3代前の大正15年から「仲野整體」を営んでいたという仲野さんは、今までの鍼灸やカイロプラクティックといった「悪い箇所の治療」からシフトし、悪くなる前の「姿勢治療家」という新たなジャンルを確立した。「体が壊れる原因」が判明してきたため、デスクワーク環境の問題点を改善する指導などを中心に活動している。

自身は、子どものころに体育が3だったというが、正しい姿勢を実践してスポーツにチャレンジ。マラソンやトライアスロンだけでなく、砂漠の中を257km走る「サハラ砂漠マラソン」でも完走したという。「正しい姿勢をマスターすればだれでもできる」という考えのもと、悩める方への姿勢矯正指導に当たっているのだとか。

「人類はどれくらいの時間、地球に存在していると思いますか?」

と参加者に問う仲野さん。答えは「700万年」とのこと。その間、途切れずに子孫を残してきた私たちなのだから、さまざまな悪い環境を潜り抜けてきた他の動物にはない力強さと適応性があるのだと力説する。

サルから進化してきた人間が、ここ数十年で危機にさらされている

仲野さんは、サルから進化して二足歩行に進化した人間の図をスライドに映す。普段からよく目にする形のものだが、違う点は最後に腰を曲げて座っている姿があること。背骨を曲げ、モニターに目を近づけてキーボードを打つ現代人の姿があった。「こんなにも曲がっていれば不調にもなるだろう」と納得できるイラストだ。

「さらに、しっかりとしたテーブルと椅子というオフィス同様の作業環境ではないローテーブルなどで作業している人や、デスクトップモニターを使用せずにノートPCの小さいモニターで作業している人は特に悪い環境にあると考えていいでしょう」

事前に参加者から取ったアンケートによると、「現在、カラダに痛みや不調がある」との質問に「肩こり、肩が痛い」「腰が痛い」とした人がそれぞれ半数以上。その他、頭や目、首が痛いという人も1割ほどいた。

「アンケートでいただいた内容だけでも『こうすれば改善する』という方法がわかります。これから、それを順を追ってお伝えしていきます」と仲野さん。

病気には、生まれながらの「先天的」なものと、生活環境などによる「後天的」なものがある。肩こりや腰痛などは後天的なもの。いうなれば、これは身体の正しい使い方をマスターさえすればたいがいは改善していけるとのこと。

正しい姿勢が必要な3つの理由

何のために正しい姿勢になりたいのか。人によって違うかもしれないが、姿勢を正すことにより大きく3つの良い影響があるという。

  • 外見への影響

ひとつ目は「外見への影響」。いろいろな姿勢があるが、家の中では多くの人が、背骨が曲がり、顎を突き出し、下腹が前に出ているような姿勢でいる。見た目にもよくない。
採用面接で有利になるのは右の写真になるだろう。

  • 体内への影響

ふたつ目は「体内への影響」。模型のスライドを見ると、背骨の間に太い神経が通っており、背骨と背骨の隙間から、外へ出ている。背骨の隙間には、神経の出口があるということだ。背骨が悪い姿勢で曲がってしまうと、神経を圧迫し、からだのあちこちに悪影響が出るのだ。

神経は脳から背骨を通って、体中に張り巡らされている。例えばつま先に何かが振れた場合、足の先で感触をキャッチして、背骨をとおり脳に伝えていく。「そういうイメージを持つと、体に対して印象が変わるのではないでしょうか」と仲野さんは言う。

参加者のアンケートによると、いまのリモートワーク環境にあって運動をしている人はとても少なかった。人間の体は動かすためにできており、運動は脳の神経を発揮させるのに欠かせない。手足が冷たい人は基本的に運動が足りていない状態。つまりは、省エネモードになってしまっている。散歩やランニングなどで末端まで血液が行くように心がけることがお勧めとのこと。

「アメリカの指標では1週間の中で150分の有酸素運動、2回の筋トレをすると体力を維持できると言われています。1日に30分を、5日間行うというイメージです。やり方やタイミングは人それぞれですが、その150分の運動を確保する方法を考えてみてください」

また、姿勢は「気分」にも大きな影響を与える。胸を張っていると気持ちが晴れやかになり考え方もポジティブになるが、背骨を内側に曲げて下を向くと、どうしてもネガティブになりやすい。姿勢を正すだけでも感情がコントロールできるということも覚えておきたい。

  • 人生への影響

三つ目は「人生への影響」だ。体力は20歳をピークに下がるという印象を持つ人が多いが、健康を保っていれば、体力はさほど衰えず、寝たきりなどにならずに最後まで元気に活動し、介護もされないままコロッと亡くなれるという楽しい人生に持っていきやすい。しかし一般的には図のように最後の13年間は杖などに頼る生活になるとのこと。

「健康は6つの要素で成り立っていると考えられます。『食』『睡眠』『精神』『運動』『構造』『呼吸』です。姿勢は『構造』の中における大切な要素だと考えています。」

姿勢を正すことをはじめとして、健康を維持することで、当然ながら未来の過ごし方が変わっていくのだ。

姿勢を正し、運動や睡眠に気を付けることで、今の悩みが改善するだけでなく、これからの人生が変わっていく。いまこの時期をチャンスと見て、姿勢を改善してみてはいかがでしょう。次回は、姿勢のチェックの仕方から、具体的な改善ストレッチなどを紹介していきます。

調子いい! がずっとつづく カラダの使い方 Kindle版 仲野孝明(著)

仲野孝明さん
姿勢治療家創設者。一般社団法人日本姿勢構造機構代表理事。株式会社 N-Style代表取締役。仲野整體東京青山院長。柔道整復師。柔道家整復師認定スポーツトレーナー。介護予防運動指導員。1973年三重県生まれ。180万人以上の患者数と二度の藍綬褒章受章を誇る、大正15年創業の仲野整體の四代目に生まれ、自身もこれまで0歳から108歳まで15万人以上の 患者を治療する。