DNAを伝える媒体づくり

第4回 「ご縁」とは、未来から振り返って必然と思えること。今後は海外での採用にもチャレンジ

ミキハウスの採用では、単なる情報だけでなく、言葉にできない感覚のようなものも伝えたいと考えている。具体的に工数をかけて実施していることや、その裏にある「ご縁」を大切にする文化、これからの展開などを人事部部長の宮本周さんにお伺いした。

手書きの封書で何かを感じてくれる人に

栃尾:
これまでいろいろと教えていただきましたが、ミキハウスさんしかやっていないことなどありますか。

宮本:
ありがたいことに、弊社には1万人以上の学生がエントリーをしてくれます。その全員に、封筒で案内をお送りしますが、宛名を人事メンバー全員で手書きしています。一見無駄なように思うかもしれませんが、その封筒を見て、何かを感じてくれる人がいるのです。「こんなに手間をかけてすごい」と感じてくれる方には、何か言葉にならないものが届くのではないかと思います。
採用は、私たちが一方的に選ぶように見えて、逆に私たちが選ばれてもいると考えています。

栃尾:
そこまで手間をかけるのは、どんな信念があるのでしょうか?

宮本:
我々は「縁」を大切にしています。縁とは何かというと、将来から今を見たときに、「必然」と思えることではないでしょうか。「あの時の出会いって必然だったよね」と、将来相手が思ってくれる。それを予感させる媒体であることが大事です。
近ごろはインターネットやSNSで、なんにでも手軽に接触できると思いがちです。そんな中で、縁を感じられる存在って何なのだろうと、常に求めていなくてはいけないと思っています。

これからはさらにグローバルに展開していく

栃尾:
今後の展開として、どのような採用を進めていく予定でしょうか。

宮本:
今までは日本の中で採用活動をして、結果的に留学生などが入社してくれていました。海外に向けて発信してきたわけではありません。しかしこれからは、中東やアジアをはじめ、ヨーロッパなど、私たち人事チームが直接足を運ぶ必要があると思っています。もちろん、媒体もグローバルに対応する必要があります。
グローバルに取り組む施策は、またゼロから構築しなくてはならないでしょう。そういったことを、頼れるパートナー企業さんと二人三脚で進めていきたいと考えています。

全4回を通して、ミキハウスの文化や社風、採用サイトの施策などを伺ってきた。ただ人が集まればいいのではなく、大切にしていることがしっかりと伝わらなくてはならない。お互いが「ご縁(=必然)」と感じるような出会い。その最初の入り口であり、夢を共有していく大切なコミュニケーション手段のひとつとなるのが、採用のWebサイトなのかもしれない。

宮本 周
株式会社ミキハウス 人事部 部長
1997年入社後、百貨店営業、経営企画、グループ会社経営、営業統括と渡り歩き、現職。人事制度改革と共に経営戦略に則った外国籍社員採用にも力を入れている。

栃尾江美
ストーリーと描写で想いを届ける「ストーリーエディター」。ライターとして雑誌やWeb、書籍、広告等で執筆。数年前より並行してポッドキャスターも