各種WEBサイトやオウンドメディアを構築しても、存在するだけで集客ができないのでは機能しない。そこで、まず思いつくのが、広告ほどは費用のかからないSEOだろう。Web広告の分野で起業し、スクールも開催している奥雄太さんに、SEOやデジタル広告の基本と応用を伺っていく。第1回目は、SEOの基礎と、最新のSEO事情について聞いた。
Googleのアルゴリズム変更は英語の公式サイトで日々チェック
Web記事を作るにあたり、SEOがマストな場合とそうでない場合はあるのでしょうか。
SEOは、ユーザーの検索行動に対して最適化させるのが目的です。もちろん最終目標は、誰かが検索したときに一番上に出すこと。例えば、WEB記事を書く目的が、誰かの課題を解決することなら、検索する人に見てもらうためにSEO対策はマストだと思います。
課題解決型ではないような記事の場合は、マストではないということでしょうか?
知り合いに見てもらえばいい、といった記事であれば、いらないかもしれません。
広くたくさんの人に見てもらいたい場合には、検索上位に出すべきだし、その場合はSEOを意識しないとなかなか難しいということですね。
そうですね。そのためにはGoogleの最新アルゴリズムを知ることが大事なのですが、過去にはアルゴリズムの穴をついて検索表示ランクを上げるようなブラックハットSEOというやり方が広まったことがありました。例えば、たくさんのサイトからリンクされる被リンクの数を増やすと検索上位に上がるというアルゴリズムに対して、ほぼ実態のないBlogなどのWebページを作って自作自演的に文脈やサイト掲載内容とはほぼ関係のないリンクするなど……
ああ、以前には被リンクを請け負うような会社がありましたね。
そうそう。他には、人間には見えないように白い背景に白い文字でサイトとは関係ない文字を掲載し検索に引っかかるようにしたり。
なるほど。
そういった偽装めいたやり方は、Googleのアルゴリズムが変われば効かなくなっていきます。実は、年に数回は大きくアルゴリズムが変わるので、こういった一過的なテクニック的なものはすぐに古くなって効かなくなっていきますね。結局イタチごっこのようになっていきます。
アルゴリズムが変わったことは、どのようにチェックするんですか?
Googleがアナウンスするので、公式の発表をまず確認します。その後に、第三者の検証結果を確認したりもします。いずれもGoogle本国が発信するため英語での情報が早く、その数か月後に日本語の公式アナウンスが出ますね。
最新動向は、SNSでのシェア数と検索行動が終わることを重視
最近のGoogleアルゴリズムはどのように変化しているのでしょうか。
SNSでシェアされた数が評価の対象になります。「シェアされているからいい記事だ」と判断されるんです。
なるほど。SNSはそんなところにも影響しているんですね。
他には、その記事内でユーザーの検索行動が終わることが重要視されています。例えば、「SEOとは」と調べたときに、「その記事だけを読んで、他の記事を読まない」というユーザー行動がその検索キーワードに対して最適な記事であるという評価を得て、検索順位がどんどん上がっていきます。
他の記事に行くと、「知りたいことが解決できなかった」とみなされるんですね。
ひとつの記事を読んで、その後に別の記事を読んだとしたら、最初の記事がユーザーが知りたかった情報が網羅されていないと判断されます。ユーザーが求めているものを提供していないことになるんです。だから、タイトルで上手く釣れたとしても中身が伴わなければGoogleにはバレてしまいますね。
ちゃんと解決できることが大事で、そのためには網羅性が大事なんですね。
タイトルだけでなく、H2タグにキーワードが入っていることも大事なのですが、逆にそれだけで中身が伴っていないものもNGです。さらには、検索結果はユーザーごとにパーソナライズされていて、その人の過去の検索履歴・行動によって検索結果がガラッと変わります。
なるほど。検索結果の順番が人によって違うんですね。記事を作る際、キーワードはどのように探していくのでしょうか?
ざっくり言うと、メディアとしての目的を定めて、ターゲット層がどんなキーワードを調べそうか検討します。「幅」と「深さ」の二軸で検討していくことがポイントですね。その中で勝てそうなキーワードを作って優先度をつけていきます。
勝てそうなキーワード……。
そう。検索順位は絶対評価じゃなくて相対評価です。実はここがポイントなのです。つまり、現在検索トップにある記事より1点でも高ければ1位になれるんです。ですから、他の記事を競合として精緻に調査・分析することはマストになりますね。
勝てそうなものから優先的に取り組んでいくのでしょうか。
はい。いきなり「SEOとは」みたいなビッグワードを狙っても勝てる見込みが少ないので、その周辺のミドルやスモールワードから攻めてドメイン自体の力を付け、Googleから高い評価を得るようになってから徐々にビッグワードを狙う方がいいでしょう。ドメインの評価が低いのに、ピンポイントでビッグワードを狙う施策を打っても順位が上がらずに単なる徒労に終わります。
SEOは、キーワード内での相対評価。ビッグワードで勝負したいなら、強い相手に勝たなくてはならない。そのためにはまず自力を上げることが最優先。そのうえで相手が何をやっているのかをしっかりと分析をすることが大切だ。次回は具体的な記事の作り方や、おすすめ分析ツールなども聞いていく。
奥雄太さん
株式会社Hagakure代表。
多くのベンチャー企業の広告運用を支援し、事業を拡大させた豊富な実績あり。少ない予算でも丁寧なWeb広告運用で成果を最大化し、ベンチャー企業・スタートアップで不足しているリソースやナレッジを提供している。事業成長に必要なWeb広告スキルを学べるスクール「デジプロ (https://degipro.com/)」を運営。
栃尾江美
ストーリーと描写で想いを届ける「ストーリーエディター」。ライターとして雑誌やWeb、書籍、広告等で執筆。数年前より並行してポッドキャスターも