これからのクリエイティブに注目すべき3つの要素のうち、2つ目は「インターフェース」。
この言葉から通常イメージされるのは、アプリやWebの画面だろう。ところが実際には、「接触面」「中間面」「界面」といった意味があり、大きな視点でとらえると、人がモノやコト、現象に触れる接触点と考えることができる。
「例えば、このペットボトルに入った水も、水のままでは持ち歩くことも飲むこともできません。カバンに入れて、いつでも好きな時に飲めるのは、ペットボトルというインターフェースがあるから。ラベルの切込みや商品のロゴ、ペットボトルの形なども、それぞれがインターフェース。それらを総合的に判断して、この商品を選択するための接触点になるというわけです」
望月さんはそこで、インターフェースの例を京都の「清水寺」に置き換える。寺には仏像があり、僧侶がいる。それらが実は、インターフェースなのだという。
「仏教は、OSだと考えることができます。これがないと始まらないけれど、それだけだとふわっとしていて実態がつかめません。寺などの箱ものは、ハードウェアと考えられ、僧侶やお経はインターフェース。実際に人と接触して、思想を伝えるものです」
OS(仏教)は変化させにくく、インターフェース(僧侶やお経)は変えやすい。ハードウェア(寺)はその中間で、変えることはできるがなかなか工数がかかる。
望月さんは、もっとも変えやすいインターフェースを変化させることで人々に新たなインパクトを与えた例として「テクノ法要」を紹介してくれた。テクノの音楽と、プロジェクションマッピングのリズムに乗せて、お経が唱えられる。実は、OSである仏教では、「法要の定義は、光り輝く空間で、ある一定のリズムが唱えられる」ことであり、木魚やろうそくはひとつのインターフェースとして捉えることができる。「テクノ法要」は、仏教の思想を変えずにコミュニケーションの手法を変化させているだけというわけだ。
これにより、それまで興味のなかった人が寺を訪れたり、メディアで話題になったり、クリエイションしたい人が集まったりといった新たなムーブメントが起こるのだ。