未経験から大ヒット! 成功者が教えるPRのコツ

第2回 PRの基本要素は「変化」「景色」「実績」「ストーリー」

『0円PR』の著者である笹木郁乃さんは、比較的小さな会社の商品をPRの力でヒットさせてきた。メディアに掲載されるために、たくさんの工夫をしてきた笹木さんだからわかる「法則」は、「変化」「景色」「実績」「ストーリー」の4要素だという。それぞれについて詳しく伺った。

エアウィーヴは「実績」、バーミキュラは「ストーリー」で露出に成功
栃尾

前回教えていただいたエアウィーヴは、アスリートの方が使っているという「実績」でメディア露出が増えたということでした。その後、笹木さんは転職されたんですよね。

笹木

エアウィーヴが年商100億円くらいになったところで、結婚したり出産したりとライフイベントが重なって、育休から復職したら本社が東京に移っていたんです。子どもが小さいのに東京へ出張する大変さと、私がいなくてもちゃんと広報・PRが回っている実態を踏まえて、また小さな会社でバリバリ働きたいな、と思い始めました。

栃尾

「自分だからこそ」の成果が出る場を求めていたんですね。

笹木

そうして出会ったのがバーミキュラです。2010年に話題になって一時的に売れたのですが、その結果工場を拡大したら、供給過多になって在庫が余っている状態でした。そこに、もう一度火をつけたいって思ったんですよね。

栃尾

具体的にどんな施策を取ったんですか?

笹木

プレスリリースを出すのではなくて、メディアに自分の足で訪問して1時間くらい話を聞いてもらいました。変化や実績、ストーリーといったことを話しながら、メディアの人にファンになってもらう戦略です。

栃尾

メディアの人って、そんなに長く話しを聞いてくれるんですね!

笹木

何とか聞いてもらうための苦肉の策でもあったのですが、メディア向けプレゼン資料を「面白いですね!」と食いついてきてくれた方がいて。

栃尾

メディアの人は、常日頃から面白い話題を貪欲に探していますもんね。

「変化」「景色」「実績」「ストーリー」を重視する
笹木

そんな風にメディアの方々と話すうちに、メディアに取り上げてもらうために必要なことが分かってきたんです。それが「変化」「景色」「実績」「ストーリー」です。どれかが欠けても、メディアに載るのは難しいんですね。

栃尾

直接話すから、相手の反応がわかるんですね! それぞれ、どういうことなのか教えてもらっていいですか?

笹木

「変化」は、例えば「エアウィーヴで寝るとこんなに腰が軽くなる!」など、商品やサービスを購入することでお客さまがどう変わるか。素材や特徴を言うのも大事ですが、それは宣伝なんですね。メディアの人もそうですが、その先にいる一般の人も興味が持てない。

栃尾

なるほど~。確かに、自分が変わると思ったら興味を持ちます。

笹木

そうですよね! さらにその変化による「景色」も大事。ぐっすり眠れることで「仕事のパフォーマンスが上がる」とか。買い物って、未来に向かって投資するという意味合いがあるんですよね。

栃尾

その先の景色が見られたら、そこに行きたくなりますね。

笹木

ただ、「本当に大丈夫?信じていいの?」と思ってしまうものです。それを後押しするのが「実績」です。エアウィーヴなら、オリンピック選手が使っていたり、飛行機のファーストクラスの座席に使われていたりと、「人気なんだ」「話題なんだ」「一流が認めたんだ」という実績が安心感につながります。

栃尾

そこで、背中を一押ししてもらう。確かに、押してもらいたいのに! ということありますもんね(笑)。

笹木

そして、最後が「ストーリー」。これが結構、大事。他社と絶対にかぶらない唯一のものなんです。

栃尾

本当に、会社や商品開発にはそれぞれの物語がありますよね。

笹木

実は、メディアに紹介されるか否かは、この「ストーリー」がもっとも違いを生むと思っています。それは、テレビや雑誌を問いません。商品の良さを知ってもらっても、例えば「調理道具特集」の中で何十種類のひとつとして少し紹介されるだけ。ところが、ストーリーだと1社だけで数ページの特集を組んでもらえることもあるんです。

栃尾

効果が全然違うんですね!

説明は相手の反応を見ながら変えていく
栃尾

メディアの方に時間をもらって話すときのトークのポイントがあったら教えてください。

笹木

印刷されたきれいなパンフレットを作るより、PowerPointで資料をプリントアウトして話す方がいいと思っています。それは、PDCA的にすぐに作り変えることができるから。また、切り口を変えて、厚めに用意していって、相手の反応に応じてその場で説明を変えるんです。

栃尾

食いついてきたところを重点的に話す感じですか?

笹木

そうですね。例えば、「お客さんには『サポートセンターが神対応』と言われています」に興味を示す人がいれば、開発ストーリーを面白がる人もいる。だから、相手の琴線によってフレキシブルに合わせることが大事です。

栃尾

資料を持って行って、順番に話すんですか? それとも、相手が食いつきそうなところから話すのでしょうか?

笹木

順番に話していきます。無名の会社の場合は、知ってもらわなくてはいけないので、まずは実績から。ただ、どこを多く話すかはその都度変えていきます。最初に実績でインパクトを与えて、商品の特徴は最後です。

栃尾

最後なんですね。

笹木

そうなんです。特徴だけを知りたい人はいないんです。

栃尾

多くの広告やPRリリースは、まず特徴ありきが多い印象なので、そもそもアプローチが間違っているのかもしれませんね。

「メディアが欲しい情報」を徹底的に考え続けた末、実は「特徴」というのは欲しい情報ではないと結論付けた笹木さん。中でも「ストーリー」に興味を持ってもらえると、大きな効果が期待できる可能性が高い。次回は、企業のSNS活用について伺っていく。

笹木郁乃さん
会社員時代、創業期2社のPRを担当。株式会社エアウィーヴ 5年で1億→115億に貢献。愛知トビー株式会社(バーミキュラ製造販売)1年関わり、12ヶ月待ちの注文殺到に。その後、PR代行事業を立ち上げる。また、自身の10年間のPR経験より構築した独自のPR理論をコンテンツとするPR塾を主宰。延べ330人以上の起業家、経営者、PR担当者にPRを指導、14期連続満席にて開催。著書に『0円PR』(日経BP社)。

栃尾江美
ストーリーと描写で想いを届ける「ストーリーエディター」。ライターとして雑誌やWeb、書籍、広告等で執筆。数年前より並行してポッドキャスターも