DNAを伝える媒体づくり

第1回 イメージから「多様性を大切にしている」ことが伝わるために

中途採用はせず、新卒採用から時間をかけて育てるというミキハウス。譲れない価値観の継承を何よりも大切にし、他社と比べることなくオリジナリティを貫いて採用を進めている。採用に賭けるパッションを余すところなく伝えるため、会社案内や採用サイトの制作に賭ける想いやこだわりについて、ミキハウスの人事部 部長宮本周さんに聞いていく。第1回は、ミキハウス独自の採用で、大切にしていることを伺った。

「非常識」と言われることもある採用方針

栃尾:
採用の特徴、課題などを教えていただけますか。

宮本:
弊社としては、あたりまえのことをやっているつもりです。ただ、同業他社を参考にすることはなく、慣例なども意識しないため、結果的にオリジナルな採用になっているようですね。外部の方から「非常識」と言われることもあります。ただし、どのあたりが非常識なのかは、自分たちではよくわからないですね(笑)。

ミキハウスのDNAを宿してもらいたい

栃尾:
どのような人材を採用したいとお考えですか?

宮本:
弊社が新卒採用をスタートしたのは45年前です。年商が1億2000万円だった当時、その10%である1200万円を採用のためにつかいました。それほど、いい人材の発掘には妥協をしません。
そんな我々が大事にしているのは、ミキハウスのDNAを宿してくれる人。入社後に、「ミキハウズイズム」というようなものと、ブランドの特性や考え方を1年間のカリキュラムで知ってもらいます。さらには、実務を通じて3年ほどかけて独自の文化になじんでもらうのです。

栃尾:
人材は、上手く見極められるものですか?

宮本:
適した人材を見極めるのは、正直難しいですね。ただ、マッチするのであれば性別や国籍は問いません。ミキハウスはもともと、「ダイバーシティ」の言葉が一般的になる以前から、多様なバックグラウンドを持つ方たちを採用してきました。
例えば、2017年の採用で入社してくれた女性は、ロシア出身でウクライナの大学を卒業し、日本の大学院を出て、2歳の女の子のママ(笑)。あくまでも一例ですが、そのように多様な方が働いてくれています。

多様性を大切にしていることが伝わるために

栃尾:
多様性を大切にしていることが伝わるために、どのような工夫をしていますか?

宮本:
採用の媒体に登場する人物に「ダイバーシティ感」を出すことでしょうか。特に外国籍の社員を積極的に登場させることで、言葉を並べるよりも伝わると思っています。
その結果、昨年は採用人数の半分が外国籍の方となりました。

人材に投資を惜しまないミキハウスが大事にしているのは、過去から脈々と引き継がれるDNA。それを伝えることができれば、性別や国籍は問わない。大切なことを絞り込んで表現する工夫は、どんな場合にも必要な考え方だ。次回は、具体的な採用サイトの施策について教えていただく。

宮本 周
株式会社ミキハウス 人事部 部長
1997年入社後、百貨店営業、経営企画、グループ会社経営、営業統括と渡り歩き、現職。人事制度改革と共に経営戦略に則った外国籍社員採用にも力を入れている。

栃尾江美
ストーリーと描写で想いを届ける「ストーリーエディター」。ライターとして雑誌やWeb、書籍、広告等で執筆。数年前より並行してポッドキャスターも