年商47億円の経営から、ゼロイチを売る仕事へ
第3回 会社員でも普遍的なスキルを身に着けておくべき
時代の波をうまく使って、個人での事業を成功させている安田佳生さん。個人で稼げる時代が来ているというものの、まだまだ会社員の人は多い。会社員であっても、働きながら普遍的なスキルを身に着けられるという。着目すべきは「顧客」なのだとか。その秘訣を伺った。 自由に働く選択肢のひとつが「会社員」 栃尾 これからの働き方は変わっていくと思いますか? 安田 そもそも、フリーランスのように自由に働けるのが前提で、その中に「雇われる」という選択肢があるだけだと考えてはどうでしょうか。 栃尾 会社員の方は、そうは思わない方が多いのではないですか。会社員とフリーランスは別物だと思っているのではないかと思います。 安田 働くことが給料をもらうことだと思っている人は多いですよね。大学を出て、会社に勤める以外に稼ぐ方法を知らない人が多い。考え方が逆で、稼ぐ方法を知っていれば、会社でもそれを使えて、お客さんに喜んでもらえる。だから報酬がもらえる、という理屈ではないでしょうか。 栃尾 個人で稼ぐ能力は、辞めるつもりがない会社員の方にも必要なスキルだと思いますか。 安田 もはや、大手企業も終身雇用を約束してくれる時代ではなくなりました。終身雇用が約束されていれば、会社で求められるスキルだけを追求して、社内で評価されればよかったわけです。でも、今はそうではないですよね。 栃尾 いつ他の会社に移っても、使えるスキルが必要ですよね。 安田 他の会社でも使える汎用的なスキルがあれば、別の会社に転職するだけでなく、同時に数社の仕事ができるかもしれません。広報や採用の分野でも副業で稼ぐ人が増えてくるでしょうね。会社側は支払いが少なくなるし、働く側は1社に縛られているより収入が増えます。お互いにハッピーです。 栃尾 そうすると、できる人はどんどん社外へ行ってしまう時代なんでしょうか。 安田 できる若手社員が辞めてしまわないように、会社はやっきにならざるを得ないでしょうね。さらには、辞めてしまっても、業務委託先としてつながっておきたいと考えると思いますよ。 喜ばせる相手を意識する 栃尾 会社にいながら社外にも通用するスキルを磨くのって大変ではないのでしょうか? 安田 普通に考えたら難しくないですよ。例えば、「今の上司の機嫌を取るスキル」は、社外に出たら必要ないでしょうね。 栃尾 明らかにその会社や部署でしか使えないスキルは、確かに不要ですね。 安田 もう少し言えば、評価してもらう相手を間違えてはいけないということ。ターゲット、つまり最終的なお客さんを意識すればよいと思います。上司なのか、部署なのか、買ってくれる人なのか。――ほとんどの人は目の前のお客さんしか見えていません。 栃尾 具体的な例はありますか? 安田 例えば、老人ホームの場合、高齢者の方がサービスを受けるわけですが、お金を払うのは家族かもしれませんよね。だからそちらを顧客として設定することが多いのです。また、学校の教師だったら、顧客は上司である校長なのか、目の前にいる子どもなのか、親なのか。もしかしたら、将来の国家や社会かもしれない。…